通称「自由が丘マンションプロジェクト(旧称自由が丘ヒルズ)」と交渉する「緑が丘2丁目住民有志の会」
【自由が丘ヒルズ計画の概要】
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対象の土地は、ほぼ周囲360度を近接した住宅に囲まれ(公道に直接面していない)
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接道用の私道も、安全・防災或いは荷物の搬出入等に充分余裕のあるとは言えない2メーター台の道幅
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建築の為に「買収」した道路接道用地と建物土地との間には2メーター以上の段差がある ・・・・・・・
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そのような土地に1,000㎡を超える実質4階建物をほぼ境界線ギリギリまで建てる・・・・・・・
この規模の建物を建てるには極めて不適格な土地への異様な計画との意見が建築のプロの方々からも寄せられています。

計画土地の特殊性に加えて….
自由が丘ヒルズ計画は、コプラスが、「コーディネーター」として実態上は開発業者・事業の推進者として行っている事業と我々は考えています。
コプラスの「現在の計画」について以下のような疑問点を我々は指摘しています。
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『誰が?』
いわゆる「コーポラティブハウス型」体裁を採っているため本当の「事業者」が曖昧です。 -
『どのように?』
「コーディネーター」として計画を推進しているコプラスは、法規制上求められている要件を満たすことにのみ着目し、隣地「買収」まで自ら行いこの開発を先導しているのではないか、という疑問があります。 -
『なぜ?』
入居者や近隣住民の安全・快適・調和といった社会的な「コスト」度外視、経済的な利得のみを追求することで、無理で地域に不適合な開発を進める原因になっているのではないか、という疑問があります。
コーポラティブ方式って(おさらい)
自ら居住するための住宅を建築しようとするものが、組合を結成し、共同して事業計画を定め、土地の取得・建物の設計・工事発注・その他の業務を行い、住宅を取得し管理していく方式
(1978年、旧建設省 現国土交通省住宅局)
コミュニティーとの有効な話し合い・適切な合意も無いまま「業者の事業目的優先で」開発が進行すれば、購入者の方、入居者の方、地域や近隣住民にとって様々なリスクが「業者ではなく」自分の現実となる可能性があります。
これから…ずっと…将来…
本当に困るのは誰でしょうか?
【懸念される問題点】
1. 自由が丘ヒルズ計画における開発形態の問題
事業主は計画に参加する方々により結成される組合(建設組合)です。
コプラスは本来は、建設組合との業務委託契約に基づく「コーディネート」受託者ですが…
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自ら南側接道地を「買収」し適法要件を確保
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予定17戸中、10戸が「募集中*」状態で組合結成**
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「事業化・採算性の検討」を自ら行う
*2016年9月3日現在
**同上説明による
なぜ「コーポラティブハウス」でありながら
自ら居住するための住宅を建築しようとするものが半数にも満たないのに、組合が結成され建物の使用が決定され建設に向かうのでしょうか?
これは分譲マンション開発業者の「青田売り」とは何が異なるのでしょうか?
これらの事実から、コプラスは「受託者・コーディネーター」の域を超え、自らが実質的なデベロッパーとしての開発行為を行っているのではないのか?という疑問を抱かざるを得ません。
コプラス説明によれば、「売れ残りが生じた場合には自らが取得し、事後転売を行う可能性」についても説明会で触れられています。
「コーポラティブハウス」は「共同して事業計画を進め….」等々により、緊密なコミュニティーがコーポラティブハウス内に作り出される…ことが売り文句なのですが、これでは分譲マンションの開発・販売と何が違うのでしょうか?
コプラスは説明会にて住民の指摘を受け、また業界団体からの聴取と指導を受けるまで、ホームページでの募集・チラシ等で「違反」とされる間取りや価格等を表示し募集を行っていました。(現在ホームページ上記載は削除されています)
コプラスは代表者の青木氏をはじめ、コーポラティブハウスの草分けとも言われた都市デザインシステム(2008年8月に民事再生法適用申請により破綻)で経験を積んだ多くの方々が事業を推進している会社です。(説明会より)
都市デザインシステムの破綻についてはこちら
http://www.tsr-net.co.jp/news/flash/1195977_1588.html
コプラスとしてのコーポラティブハウス実績も10件を超え*、コーポラティブハウスの経験とノウハウが売り(説明会にて)の会社です。
*当社ホームページより(2016年8月末現在)
一方で、コーポラティブ方式での募集については次のような問題から、それを防ぐ通知が公的になされています。
コーポラティブ方式(組合方式)による住宅建設を行う協同組合員を募集する名目で、実際には組合が結成される前に、建物の設計、販売価格等がほぼ確定しているマンションの購入の申込みを募る広告(中略)。これらの広告は、建物の完成予想図、専有部分の間取図、価格等を表示し、コーポラティブ方式との文言の記載を除けば通常の新築分譲マンションの販売広告と何ら変わらないものであり、その実態は、建築確認のない建築工事完了前の新築分譲マンションの売買の広告と認められるものであって、不動産の表示に関する公正競争規約第5条(広告表示の開始時期の制限)の規定に違反するものです。
出典:平成11年9月28日付社団法人首都圏不動産公正取引協議会通知
「コーポラティブハウスのリーディングカンパニーとして培ったノウハウ(当社HPより)」を唄う会社で、このような基本的・初歩的なコンプライアンス(法令遵守)違反は単なるミスや誤認で起こるのでしょうか?
2. 自由が丘ヒルズ計画 地の問題
計画予定地は、もともと西側に狭拡幅の私道を有するのみの土地(所謂“旗竿地”)です。
コプラスは南側接道を確保するため私道(位置指定道路、公道から30メートルほどの私道(2項道路)を経ての袋地に存する私道)に面した住宅を“買収”することにより接道を確保しました。(所謂「地上げ」?)
ここには以下のような問題があります。
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建物が建設される予定の旗竿地と“買収”し接道確保した南側土地との間には2m以上の段差(現在は擁壁)があります。南側接道へのアプローチには階段を通る必要があります。
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接道地から建物の傍へは車輌等の進入は不能となります。又、災害時や緊急時避難、車いすや歩行支障者の通行にも大きな問題が指摘されます。
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計画地も周辺環境も、本来低層戸建住宅を想定した街並みが伝統的に形成されてきました。
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そこに「合法的」にのみ着目し建設される17戸・1,000平米以上の「巨大な」“共同住宅規模の長屋”が建設されることにより、防災対応を含めた安全面、この規模の居住者増による様々な生活行為が招く問題を抱えているように見えます。
例えば、十分な駐車・駐輪スペースが無いことによる青空駐車・共有私道での頻繁な車輛通行…今の「計画」では、僅か2台の駐車場は住民に使用され、運搬業者の荷捌きスペースすら確保されていない案となっています。 -
また….長期の工事による或いはその後も含めた大型車輌の通行・騒音対策・プライバシー保護・現状日影/眺望への妥当な配慮・居住者の不測の流動化(賃貸化等))等が地域や近隣住民の懸念になります。この事業に参加される購入者の皆様は、このような社会的コスト負担や、今後の様々な「調整」や「補償」に伴う時間とコストの負担をコプラスではなく「事業主」として(可能性としては無限大に)背負って頂く可能性があります。
3. 自由が丘ヒルズ計画における建築形態の問題
自由が丘ヒルズ計画はいわゆる「重層長屋」の形態を敢えて採ることにより、同規模の共同住宅に対して求められる衛生・安全・防災上の観点からの諸法令・条例・規制等の対象とならない問題が指摘されます。
ひとつの建物に多くの戸数の住民を収容する場合には、防災・衛生等を含めた様々な社会上の問題を未然のものとする為に規制やガイドラインが存在する訳です。
「重層長屋」による問題は多くの報道・識者・業界等で指摘されています。
『東京都内に広がる重層長屋の危険性』 2013年03月04日 NPO法人市民科学研究室http://archives.shiminkagaku.org/archives/2013/03/post-309.html
『東京に長屋が急増?頻発する地域住民とのトラブル、災害時には高い危険も』2014年05月10日 ビジネスジャーナル
http://biz-journal.jp/2014/05/post_4827.html
『長屋と共同住宅の規制の違いが地域環境に与える影響』政策研究大学院大学
http://www3.grips.ac.jp/~up/pdf/paper2014/MJU14609takada_abst.pdf
更に計画地は災害時の避難経路としても救助・救援車輌通行においても所謂、隘路(ボトルネック)箇所が存在する特殊な地形です。
従って地形の特殊性からも通常想定される以上の防災・安全といった環境配慮を要するものと考えますが、それらの配慮を「長屋」形態という法の未整備に頼り「売値に直接乗せられるであろう間取りの広さ」を確保することをもし優先しているのだとすれば…
安全、防災、環境… 充分な配慮は「人の命の問題」
…そのための努力は企業に求められる責任
これらは
「建蔽率・容積率を私道分・接道用崖下買収地分までギリギリ使い」
「避難路なんかも規制等で求められるギリギリ基準を満たすだけで」
「求める『経済的な目標額』を達成すること」
よりも劣後することなのでしょうか?
…最近の様々な企業不祥事(マンション・自動車etc.)を思い出します
自由が丘ヒルズ計画の問題は住むことになる方々の「防災・安全」問題に止まらず、隣接住民を含めた地域全体の問題となることに大きな懸念を有しています。
狭隘な接道による防災対応の問題をはじめ、この計画地のような路地上敷地であり民家に囲まれている状況、且つ十分な接道や現計画上では敷地内避難路をも確保出来ていない土地や計画については東京都条例でも「共同住宅」は建築が禁じられています。
それにも関わらず、敢えて共用部の設置を行わないことによる長屋形態開発を行い、防災関連のみならず窓先空地の確保・グリーン環境配慮等の対応を免れるとともに、近隣地域における所謂「建て詰まり」を招来する懸念については、地域の居住環境を徒に悪化させるとともに、本計画が契機となり同様な「土地の本来の想定された利用形態にそぐわない」「無理な」開発が認められれば、これは「実績」として当地区のみならず、多くの住宅地でさらに今後加速させかねない懸念を有しています。